2014年04月24日

第72期名人戦 第二局「羽生挑戦者vs森内名人」

2014年4月22,23日に第72期名人戦第二局が行われました。

先手は羽生挑戦者、後手が森内名人です。
第一局は羽生挑戦者が相がかりの序盤から仕掛け、
今まで見たことのないような将棋になりましたが、
今局はどのような戦型になるのでしょうか。

>>第一局に関する記事はコチラから

注目の初手は▲2六歩でした。
これは羽生挑戦者が「また相がかりをやりましょう」と誘っている手ですね。
そして森内名人も時間を使わずに△8四歩。

第二局も前局とおなじく相がかりの戦いになりました。

前局では後手の△9四歩に対して先手は手抜きをしましたが、
羽生挑戦者は端歩を受けました。
これは羽生挑戦者が端の価値が高いと判断しているということでしょうかね。

先手は引き飛車に構えたので、▲2七銀から棒銀模様になるのかと思われましたが、
羽生挑戦者は4六歩〜4七銀型に組まれました。
後手も6四歩〜6三銀として、先後同型の形になり、
少し古い将棋ですが、相がかり相腰掛け銀になりそうだという予想でした。

しかし予想を裏切り先手は▲3六銀(イ図)と出て、2七とは違うルートで棒銀を目指しました。
このあたりは羽生挑戦者の柔軟なところですね。

(イ図)

ちなみにこの4七〜3六へ銀が進出する戦法を鎖鎌銀と呼ぶようです。
もともとは後手番の作戦だったみたいですね。

[参考] 将棋棋書ミシュラン! 九段 芹沢博文の 猪突銀戦法

羽生挑戦者は▲2五銀と出て正面突破を狙います。
それに対し森内名人は角を交換して4七に打ち込み、
3八に角を合わせることを強要することで金の位置をずらしました。
これは非常に細かい手順ですね。

先手は3四の歩を入手し、2三の地点を狙いますが、
後手も銀と金でブロックしているためそう簡単には突破できません。
そして後手は△4四歩と積極的に先手の銀を攻める手順を選びました。

これはさらに△2四歩として「銀挟み」の手筋で銀を捕獲する狙いです。

先手はここで▲6八玉と攻めではなく守りの手を指しました。
「居玉は避けよ」という格言通りの一手ですね。
あとは△2四歩に対してしっかりとした対策があるかが問題となります。


先手の▲6八玉に後手は間髪入れずに△2四歩(ロ図)とし、遂にのっぴきならない局面となりました。

(ロ図)

それに対し羽生挑戦者が出した答えは▲3五角、これが銀を助ける継続手段でした。
後手は△3三銀とぶつけていきましたが、△3三歩もあったようです。

※局後の感想※
△3三歩が調べられた。示されたのは▲2四角△4二飛▲2三歩△3一銀▲1五歩△同歩▲1三歩△2七歩▲同飛△3四歩▲4二角成△同玉▲2八飛という順。「自信ないなあ、端にいくのでは」と羽生。森内は「これもありましたかね」と話した。

(毎日新聞棋譜中継より引用)

▲3三同銀、△同金、▲2四角、△同金、▲同飛と、先手は駒損ながら飛車先を突破することができました。
後手の△2二歩に▲2三歩と合わせるのが手筋で、、
取れば龍ができますし放置すれば▲2二歩成で攻めが続きます。

この▲2三歩が1日目の封じ手の局面となり、これに対する応手を森内名人が封じました。


(封じ手図 51手目▲2三歩まで)

そして2日目、注目された封じ手は52手目△9二角(ハ図)でした。

(ハ図)

これは浮いている3八の金を狙った遠見の角ですね。
この金の受け方が非常に難しいです。

金寄りは薄いですし、引くと4七に角を成られます。
4七銀は4五歩〜4六銀がうるさそうで、
消去法で4八金打なのかと思っていましたが、
実戦でもそうなりましたね。

なんだかこの金打ちは羽生さんが好きそうな気はしていたんですよ。
受ける時はがっちり受ける方が好みだと思います。

ここから後手がどう攻めていくのか気になるところでしたが、
4五歩の突き捨てを一本入れてから7四角打と角をつないで3八の地点をさらに狙いました。
個人的にはこの攻めの感触が良くないので、先手が指せるのかなと思っていました。

これに対して先手はさすがに受けきれないので▲3九金と引いて当たりを避けました。
そして後手△3八銀(二図)、まさに一点狙いといった感じですね。

(二図)

先手はここで駒を全て清算し、▲4四銀と5三の地点を狙います。
後手は居玉ですから、▲5三銀成とされると玉が相当危険な状態になります。

後手は△3三金と飛車に当てて金銀交換を迫りましたが、
再度の▲4四銀で受けが厳しくなってしまいました。

もはや受けてもしょうがないと後手は△4七馬と攻めあいますが、
69手目▲5三銀成(ホ図)がやはり厳しく、「5三の成銀に負けなし」状態ですね。

(ホ図)

森内名人は△6九銀と尻銀で迫り、この手は詰めろになっています。
そこで▲7九銀と引いたのが壁銀を解消しつつ詰めろを消す軽い手です。

横からの攻めだけでは届かないため、
後手は△6五銀と駒を活用しつつ上から圧力をかけました。

ここで銀が動いたために先手の飛車が息を吹き返し、
▲6四飛(へ図)が実は詰めろになっています。

(へ図)

しかし適当な受けもないということで、
森内名人は△7六銀と詰めろをかけ、形作りをしました。

そして羽生挑戦者は長手順の詰みを正確に読み切り、
89手目▲8四金の局面で森内名人の投了となりました。

以下は△同玉、▲6四龍、△7四合、▲8二龍、△8三合、▲7五金で詰みとなります。

本局は森内名人の反撃が実らず、羽生挑戦者の快勝譜となりましたね。
これで一局目に続き羽生挑戦者の2勝となりました。

第三局は5月8〜9日に行われます。
はたして今シリーズは相がかりシリーズとなるのでしょうか。
個人的には矢倉や横歩取りの将棋も見てみたいところです。




[参考棋譜]「棋譜でーたべーす」より
開始日時:2014/04/22 09:00
消費時間:89▲472△460
棋戦:第72期名人戦七番勝負第2局

戦型:相掛かり

場所:福島県喜多方市「熱塩温泉 山形屋」

持ち時間:各9時間

手合割:平手

後手:森内俊之竜王・
先手:羽生善治
手数----指手---------消費時間--
1 2六歩(27)
2 8四歩(83)
3 2五歩(26)
4 8五歩(84)
5 7八金(69)
6 3二金(41)
7 2四歩(25)
8 同 歩(23)
9 同 飛(28)
10 2三歩打
11 2八飛(24)
12 3四歩(33)
13 3八銀(39)
14 9四歩(93)
15 9六歩(97)
16 7二銀(71)
17 4六歩(47)
18 6四歩(63)
19 4七銀(38)
20 6三銀(72)
21 7六歩(77)
22 8六歩(85)
23 同 歩(87)
24 同 飛(82)
25 8七歩打
26 8二飛(86)
27 1六歩(17)
28 1四歩(13)
29 3六銀(47)
30 5四銀(63)
31 2五銀(36)
32 8八角成(22)
33 同 銀(79)
34 4七角打
35 3四銀(25)
36 2二銀(31)
37 3八角打
38 同 角成(47)
39 同 金(49)
40 4四歩(43)
41 6八王(59)
42 2四歩(23)
43 3五角打
44 3三銀(22)
45 同 銀成(34)
46 同 金(32)
47 2四角(35)
48 同 金(33)
49 同 飛(28)
50 2二歩打
51 2三歩打
52 9二角打
53 4八金打
54 4五歩(44)
55 同 歩(46)
56 7四角打
57 3九金(38)
58 3八銀打
59 同 金(39)
60 同 角成(74)
61 同 金(48)
62 同 角成(92)
63 4四銀打
64 3三金打
65 同 銀(44)
66 同 桂(21)
67 4四銀打
68 4七馬(38)
69 5三銀成(44)
70 6九銀打
71 7九銀(88)
72 6五銀(54)
73 6四飛(24)
74 7六銀(65)
75 4二角打
76 同 飛(82)
77 同 成銀(53)
78 同 王(51)
79 4四飛(64)
80 5三王(42)
81 4三飛打
82 6二王(53)
83 6四飛(44)
84 7二王(62)
85 6一飛成(64)
86 8二王(72)
87 4二飛成(43)
88 9三王(82)
89 8四金打
90 投了
まで89手で先手の勝ち
posted by Justice at 03:00| Comment(0) | プロ棋戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする