2014年04月06日

第3回将棋電王戦 第四局「ツツカナvs森下卓九段」

2014年4月5日(土)に小田原城にて第3回電王戦 第四局「ツツカナvs森下卓九段」の対局が行われました。

すでに2-1とカド番に立たされているコンピュータvs人間ですが、
第四局には森下卓九段が登場されました。

今回の戦型は森下九段の得意とする矢倉になりました。
森下九段と言えば森下システムが有名ですね。

森下システムは以下の局面が基本形です。

現代では3七銀戦法が流行っているので、あまりプロ将棋で見かけることはないですね。

先手はコンピュータのツツカナ、後手が森下九段です。
本譜では3七銀戦法の定跡の局面へ進み、31手目の▲1六歩(イ図)が若干早いような気がします。

(イ図)

森下九段は端歩突きには付き合わず玉の入城を優先させます。
そこでツツカナは1筋の位を取りました。ここはツツカナの工夫でしょうか。

そこから数手進み、35手目が▲4六銀(ロ図)。

(ロ図)

ニコファーレで行われた大盤解説会にて解説の藤井猛九段はこの手を見て、

端に2手もかけて▲4六銀と出るのはすごく図々しい手。
プロはノータイムでふざけんなと(△4五歩と突きます)。


と仰っていましたが、森下九段も△4五歩と銀を追い返す順を選ばれました。
通常の3七銀戦法ですと△4五歩は後の▲4六歩のように先手に争点を与えてしまうので、あまり選ばれない手です。
ただ今回は先手が1筋に2手もかけているので、それでさらに4六銀〜3七桂型を作られるのは辛抱できないようです。

そこから後手は右銀を繰り出し手厚い陣形を築きます。
先手のツツカナは反撃のために4筋へ飛車を展開し、
42手目で早くも後手は△5五歩(ハ図)と仕掛けました。

(ハ図)

この手は▲同歩に△5二飛として、4筋vs5筋の戦いに持ち込む狙いですね。
先手の端の2手を甘くしようという中央志向の作戦です。

先手も4筋から反発し、後手が4筋を歩で抑えたところでツツカナはじっと▲2六歩(二図)と突きました。

(二図)

そこから後手は桂を跳ね、飛車を浮いて理想形を築きます。
ツツカナも指す手が難しいのか55手目▲5六歩(ホ図)と打ち、局面をほぐしに行きました。

(ホ図)

この局面、後手はいつでも△5六銀と突進できるところなので、
先手は攻めを催促した恰好ですね。

そこから銀と金を交換しあい、先手は6七銀と埋めて銀矢倉を再構築。
後手の飛車が引いたところで4六の歩を払いました。

しかし、62手目△6九金(ヘ図)で先手は角銀交換の駒損が確定しました。

(へ図)

ツツカナは駒損よりも中央の厚みで戦おうということですね。
コンピュータは角金交換や角銀交換を平気でして、
なおかつそれで勝ってしまうことが多くあるように思います。

そこで後手の森下九段は8筋を突き捨てて△5九角と打ち込みます。
そして6八の金を取り4七の地点に打ち込みました。

4六の銀が助けづらいという判断ですね。
金で受けると銀を取ってから5七銀の両取りがあります。(参考イ図)

(参考イ図)

しかしツツカナは打ちづらい(角があまり働かない)と言われていた▲2八角(ト図)で銀を助けました。

(ト図)

後手は△5七歩と垂らし、先手は▲6九金とがっちり受けました。
そこから後手は飛車を敵の玉頭へ振り直し、先手はじっと銀を7七へ戻します。

ここで後手は78手目△5八歩成(チ図)、打ったばかりの拠点の歩を成り捨てました。
どうにもこの手は評判が芳しくなかったようです。

▲同金に△3八金では大事な金がそっぽへ行ってしまうのでもったいないように見えます。

(チ図)

検討では先手は角を逃げて、後手は香車を取りに行くのではないかと見られていましたが、
ツツカナは▲5七金とあっさりそっぽ金と角を交換させました。

自分の角も使えていないので交換しても構わないということですかね。

この歩成〜5七金の一連のやりとりには解説の藤井九段も困惑されたようです。


「(麻雀に喩えて)すごい筋の悪いリーチでアガっちゃったみたいな感じ」
「両者強すぎて私はついていけません…」


角を取った森下九段はすぐに▲9四歩。
これには大盤解説聞き手の山口女流初段も「早い!そして渋い!」と驚きの声を上げていました。

それに対してツツカナは▲7八玉(リ図)として中央の厚みへ玉を寄せました。

(リ図)

こうして見ると先手の模様がかなり良く、先手が指せそうな形勢になったようです。

先手は▲4四金と位を生かして矢倉に食いつき、後手は攻めざるを得ない状況になりました。
そこで後手は△9七桂成から攻め込みますが、ツツカナは厚みを生かしてじわじわと寄せていきます。
103手目▲5四歩(ヌ図)とじっと歩を突き出し、5五角を見せつつ歩成を狙っていきます。

(ヌ図)

こうなると受けもきかない形になっているため、
後手は最後の反撃として△5五香、▲同銀に△3七角と両取りをかけました。
しかし「終盤は駒得より速さ」という格言の通り、ツツカナは両取りを相手にせず、
▲5三歩成〜4三と(ル図)、として本丸へ侵攻しました。

(ル図)

▲5三歩成に△同金は▲4六桂(参考ロ図)が銀取りを受けての詰めろになってしまい、
あまりにもぴったりなために取ることができませんでした。

(参考ロ図)

後手も△5五馬と攻防に引きながら銀を入手しましたが、
先手は▲3二金、▲2二金と打って要所の馬を消して玉を安全にし、
▲5五角〜▲5四角(ヲ図)と角を並べた手が詰めろになっています。

(ヲ図)

もはや後手玉は一手一手のため、後手は△4八飛〜△5六金と迫りましたが、
ツツカナは▲3三とから後手玉を即詰みに討ち取りました。

終局図は135手目▲4三桂まで。

(終局図)

以下は△4一玉、▲5一桂成、△同玉、▲3三角成、△6一玉、▲7二銀で詰みとなります。

これでコンピュータvs人間の通算成績は3-1となり、今年も人間側の負け越しが決定してしまいました。

最終局となる第5局は4月12日(土)に将棋会館にて「屋敷伸之九段 vs ponanza」の対局が行われます。

PV


ニコ生


屋敷九段に対するは"王者"ponanza、
最後に"忍者"屋敷九段が人間の意地を見せてくれるのか、非常に楽しみです。




参考棋譜「棋譜でーたべーす」より

開始日時:2014/04/05 10:00
消費時間:▲3時間56分△4時間48分
棋戦:第3回電王戦第4局

場所:神奈川県小田原市「小田原城」
持ち時間:各5時間

手合割:平手

後手:森下卓
先手:ツツカナ

手数----指手---------消費時間--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 6八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 4八銀(39)
10 4二銀(31)
11 5八金(49)
12 3二金(41)
13 6七金(58)
14 4一王(51)
15 7八金(69)
16 5二金(61)
17 6九王(59)
18 3三銀(42)
19 7七銀(68)
20 3一角(22)
21 7九角(88)
22 4四歩(43)
23 3六歩(37)
24 7四歩(73)
25 3七銀(48)
26 6四角(31)
27 6八角(79)
28 4三金(52)
29 7九王(69)
30 3一王(41)
31 1六歩(17)
32 2二王(31)
33 1五歩(16)
34 8五歩(84)
35 4六銀(37)
36 4五歩(44)
37 3七銀(46)
38 5三銀(62)
39 8八王(79)
40 4四銀(53)
41 4八飛(28)
42 5五歩(54)
43 同 歩(56)
44 5二飛(82)
45 4六歩(47)
46 5五銀(44)
47 4五歩(46)
48 4六歩打
49 2六歩(27)
50 7三桂(81)
51 1七桂(29)
52 5四飛(52)
53 2五桂(17)
54 2四銀(33)
55 5六歩打
56 同 銀(55)
57 同 金(67)
58 同 飛(54)
59 6七銀打
60 5一飛(56)
61 4六銀(37)
62 6九金打
63 5五歩打
64 6八金(69)
65 同 金(78)
66 8六歩(85)
67 同 銀(77)
68 5九角打
69 2八飛(48)
70 6八角成(59)
71 同 飛(28)
72 4七金打
73 2八角打
74 5七歩打
75 6九金打
76 8一飛(51)
77 7七銀(86)
78 5八歩成(57)
79 同 金(69)
80 3八金(47)
81 5七金(58)
82 2八金(38)
83 同 飛(68)
84 9四歩(93)
85 7八王(88)
86 9五歩(94)
87 4四金打
88 8五桂(73)
89 8六銀(77)
90 9七桂成(85)
91 同 香(99)
92 9六歩(95)
93 4三金(44)
94 同 金(32)
95 9六香(97)
96 5六歩打
97 同 銀(67)
98 9六香(91)
99 6五銀(56)
100 9九香成(96)
101 6四銀(65)
102 同 歩(63)
103 5四歩(55)
104 5五香打
105 同 銀(46)
106 3七角打
107 5三歩成(54)
108 2八角成(37)
109 4三と(53)
110 5五馬(28)
111 3二金打
112 1二王(22)
113 2二金打
114 同 馬(55)
115 同 金(32)
116 同 王(12)
117 5五角打
118 3三銀打
119 同 桂成(25)
120 同 桂(21)
121 5四角打
122 4八飛打
123 5八歩打
124 5六金打
125 3三と(43)
126 同 銀(24)
127 1四桂打
128 1二王(22)
129 2一銀打
130 同 飛(81)
131 同 角成(54)
132 同 王(12)
133 2二飛打
134 3一王(21)
135 4三桂打
136 投了
まで135手で先手の勝ち
posted by Justice at 15:30| Comment(3) | 第3回将棋電王戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
関東中年棋士のツイッターは関中門では
Posted by at 2014年04月06日 23:52
三浦先生を倒したのはGPS将棋・・・。あ、タッグマッチでは佐藤ponanzaタッグが勝ってたか。
Posted by at 2014年04月20日 02:03
これは失礼しました。
勘違いです。

修正させて頂きます。
Posted by J at 2014年04月21日 22:17
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