2025年01月25日

3C詰の絞り込みE PT1aの適用

記号&用語の説明---

X,Y,Z  = 場所
O = 開放度
N = 非開放度
BN = 最善非開放度
T = 詰み判定式
PT = 事前詰み判定式
対象形 = 攻方対子3C基本形
自明な詰み = 持ち駒なしの1手詰
---

  • PT1aの適用の準備

今回は対象形の有効盤面において、
攻方駒の具体的な場所が分からないとき自明な詰みがあるかを、
前回定義したPT1とPT1aを用いて判定することを考えます。


玉の位置を(X)隅、(Y)辺、(Z)それ以外、の3通りに場合分けすると、
Oは{O(X),O(Y),O(Z)}= {4,6,9}となります。

ここで今後の便利のため、

PT1(i,j) = O(i) - 2 • BN/j()
PT1a(i,j) = O(i) - BN/j() - N/j()

とします。(iは場所を表す変数、jは駒種を表す変数)


自明な詰みは1手しか動かさないことから、
対称形ではPT1aのみ判定すれば十分です。

以下PT1aの結果により、

不詰 ⇒「なし」
詰みの可能性あり ⇒「あり?」

と表示します。


駒種別のPT1aを大きさ順に調べれば、
一度「あり?」が出れば以降はすべて「あり?」となり便利なため、比較表を作ります。

それぞれのPT1aは、

6=歩<桂<香=銀=角<金=飛=馬<龍=12

となります。

  • PT1aの適用

(1) j = 歩の場合


N/歩() = 1
BN/歩() = 5

より、

i = X のとき
PTa (i,j) = -2 < 0
「あり?」

i = Y のとき
PT1 a (i,j) = 0
「あり?」

i = Z のとき
PT1 a(i,j) = 3 > 0
「なし」

以降の8種で i = X , Y の場合は「あり?」となります。
よってこれからは i = Z の場合を考えます。

(2) j = 桂の場合

N/桂() = 2
BN/桂() = 5

より、

PT1a(Z,j) =2 > 0
「なし」

(3) j = 香、銀、角の場合

N/j() = 3
BN/j() = 5

より、

PT1a(Z,j) = 1 > 0
「なし」

(4) j = 金の場合
N/金() = BN/金() = 5

より、

PTa(Z,j) = -1 < 0
「あり?」

よってPT1aでの判定で自明な詰みがないのは、
玉が隅と辺にはなく、対子が歩香桂銀角の場合となりました。

  • PT1aの不詰判定盤面の数え上げ

このような有効盤面を数え上げると、

(1)歩香の場合

玉が三段目の時、反則配置でない残り5マスに2枚を配置するから3*5C2通り、ただし歩の場合は二歩の6通りを除きます。
玉が二段目の時、反則配置でない残り4マスに2枚を配置するから、3*4C2通り、ただし歩の場合は二歩の6通りを除きます。

よって香車→48通り、歩→36通り

(2)桂馬の場合

玉、桂馬ともに三段目にあるから、3通り

(3)銀の場合
玉の位置が、
2二→3C2
3二、2三→5C2、6C2
3三→7C2
合計すると、3+10+15+21=49通り


(4)角の場合
玉が2二と2三、3二、3三の場合で分けて考えて、
4C2+3*6C2 = 6+3*15 = 51通り

まとめると、36+48+3+49+51 = 187通り


PT1aによる絞り込みで有効盤面542通り→PT1aによる不詰判定盤面187通りになりました。
PT1aによる絞り込み率は187/542≒34.5%となりました。

  • 次回予告

この絞り込んだ盤面を「対象形(PT1a)」と表すことにし、
次回はこのような盤面(187通り)について考えます。

posted by Justice at 00:00| Comment(0) | 詰将棋研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする